「赤と白」櫛木 理宇

何年も前のことを思い出す。

      • ほかのところからここに来た人は、ずっと鉛色で青空の見えない空がひと月も続くのがとてもつらいんだそうです

そこで生まれて育った、その人はそう思わないのだと言う。

雲の隙間からわずかな青空も、ない。ずっと雲。どこまでも雲。

それを思い出した。